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人的投資の必要性
当社のビジネスのさらなる進展のためには人材への投資が重要であることはCEOが述べているとおりです。
経営目標である「毎期10%の営業利益増益」、中長期経営目標である販売本数1億本達成に向けて、引き続き高品質なゲームを開発していくため、優秀な開発人材の確保を継続していく必要があります。2023年度末の開発職社員数は2,675名となり、2019年度末の2,142名からおよそ25%増加しました。
当社を取り巻く課題
当社の開発人員については順調に増加していますが、必要人材の確保においては社内・社外両面で課題があると認識しています。まず社内に目を向けると、プラットフォームの進化に伴ってゲーム開発は年々大規模化・長期化しています。また当社の目指す「世界一面白いゲームを生み出す」ためには、最高水準の技術が必要不可欠です。ゲーム開発の進歩とともに、当社でもより一層の開発人員の拡充、従業員の技術レベルの向上が求められていくと考えています。
当社では1993年度から1995年度に定期採用で入社した社員が比較的多く、ゲーム開発の最前線で力を発揮してもらっている社員も多数存在します。彼ら、彼女らが50代中盤に差しかかってくるにあたって、その貴重な経験やノウハウを、次の世代にどのように引き継いでいくかという点も課題となります。
また、社外環境における課題としては、国内の少子化に伴う労働市場の縮小が挙げられます。若い世代には幼少期からゲームに親しんできた人材も多く、今後も積極的に採用を進めていく予定ですが、当社のゲーム開発に求められる水準を満たした優秀な学生を獲得するハードルは、年々高くなっています。
これまでの取り組みと成果
当社ではこれらの課題に対する取り組みとして、「将来を支える人材の確保と育成」「従業員が最大限に能力を発揮するための、働く環境の再整備」の2点に注力しております。
まず、昨年度の統合報告にも記載しました通り、①当社正社員の報酬平均30%増、②利益に連動した賞与制度の導入、③従業員向けの株式報酬制度の導入、といった3つの報酬制度の改定を実施しました。この賞与制度、株式報酬制度の導入で、従業員の頑張りによる業績成長、株価上昇が、自身の報酬にも反映されていくという好循環のサイクルを構築しています。結果として従業員の平均年収は2023年度で8,328千円と、2019年度の5,998千円から38.8%増加しました。更に株式報酬でも、株価上昇に伴い付与される株式の換価価値が向上しており、会社の成長に対する従業員のモチベーションに繋がっています。また、報酬面での採用競争力の強化に加え、採用ブランディングの推進、海外有名大学からのインターン受入れなどの採用チャネルの多様化を進めており、中途採用で着実な成果を上げています。
新卒採用においては、2025年度より新卒社員の初任給を業界でも高水準の月額30万円に引き上げ、さらに優秀な人材の獲得を目指したいと考えています。当社は2013年より100名以上の新卒採用を継続していますが、毎年大量に入社してくる新卒社員の育成は大きな課題でした。この課題に対し、若手社員の早期育成のための、メンタートレーニング研修を導入し、のべ900名の開発社員が参加するなど、現場主導での対応が進んでいます。加えて経営側でも、オンライン学習による自学の促進など、従業員が自主的に考え、成長していける環境づくりを行っています。新卒社員が若い感性を活かしつつ、現在最前線で働くクリエイターの貴重なノウハウを引継ぎ、次のゲーム開発の柱になれるよう、今後も育成に注力していきます。また、今後より一層の開発人員の拡充を図っていくためには、外国籍従業員や育児・介護で短時間勤務が必要な従業員など、「多様な背景を持つ人材が、最大限に能力を発揮できる環境づくり」が必要であると考えています。そのために、外国籍従業員に対する一時帰国のための特別休暇制度や日本語教育の導入、大阪エリアにおける社内保育所の開設、介護セミナーの実施、パートナーシップ制度の導入、生理休暇の有給化といった施策を導入しています。さらに、従業員のニーズを経営層が直接把握するため、経営層による従業員向け説明会を実施しています。2023年度においては、計14回実施し、延べ870名超の従業員が参加しました。
2022年度より、これらの取り組みを推進した結果として、単体での中途採用数はおよそ100名規模にまで増加しました。また、従業員のエンゲージメントも同年より高い水準を保っており、離職率も3%を下回る水準となりました。採用競争力の観点からも、従業員の生産性向上やリテンションの観点からも、目に見える形で成果が上がっています。
今後の課題と取り組み
当社が今後も持続的な成長を続けていくためには、さらなる人材投資戦略を推進していく必要があります。新卒採用においては、大学や専門学校との産学連携を推進していきたいと考えています。先駆けとして近畿大学と連携し、当社独自のゲーム開発エンジン「RE ENGINE」を活用した体験型授業の提供を開始しました。こうした取り組みを広げていくことで、当社のゲーム開発の時代を支える人材の発掘に繋げていきたいと考えています。
また、前述した「多様な背景を持つ人材が、最大限に能力を発揮できる環境づくり」でも、まだ改善の余地は大きいと感じています。当社には現在35ヵ国から来た、200名以上の外国籍社員が在籍していますが、働き方のギャップや言語の壁はやはり存在しています。また男女間の待遇差や、男性育休の取得率等は年々改善しているものの、今後を見据えるとさらに取り組みを推進していくべき領域です。当社では、2028年度までに男女間賃金格差をOECD平均並みの88%以上に、男性育休取得率は2030年度政府目標の85%以上に、それぞれ引き上げる目標を掲げています。また増加していく定年再雇用社員についても、貴重な戦力として活躍してもらうための施策が必要であると考えています。
最後に
現在当社では、上述した人材投資戦略を推進していくことで、結果として社内の多様性が向上し、従業員のエンゲージメントも高まる、良い循環が生まれています。私はCHOとして、各人事組織が抽出した人事課題に対して、経営レベルでの議論を行い、方針を示すことで、この良い循環を加速させていきます。ゲームビジネスを支えるのは人であり、人的資本こそが当社成長の原動力になると考え、この循環を通して、次の10年に向けた持続的な企業価値向上に寄与していきたいと考えています。